シャ乱Qの6枚目のアルバム。
1.Baby! I Need You
アルバム冒頭にふさわしい、スピード重視の勢いを感じる曲。
キーボードのアクセントが曲を引き立たせており、今までのシャ乱Qからアレンジ面での進化を感じさせられる。
2.大阪エレジー
アルバム曲ながらテレビ番組や25周年記念ライブでも演奏される、非常に人気のある曲となった。
シャ乱Qメンバーの故郷、「大阪」への愛が感じられる一曲になっている。
アレンジ面では、はたけのギターリフが随所で利いており、本アルバムの中でも完成度の高い一曲となった。
3.泣かないで
キーボード主体のおとなしめのアレンジ。
元恋人との痛切な別れを感情を込めて歌い上げている。
4.脱出
まこと作詞による、ライバルに負けたくないという気持ちを綴った一曲。
ロックテイストながらピアノのアクセントも効いており、シャ乱Q独自の絶妙なアレンジとなった。
5.こんなにあなたを愛しているのに
シングル「いいわけ」のc/w曲。
カップリング曲ながら大変人気のある楽曲である。
禁断の恋愛がテーマになっており、歌詞も高く評価された。
曲全編で繰り広げられる切ないギターリフが印象的。
6.ネオン
今までのシャ乱Qにはなかったようなアレンジで新境地の一曲となった。
たいせーは鍵盤ハーモニカで本曲を演奏している。
歌詞のテーマは今住んでいる街を抜け出すという趣旨でどこか哀愁を感じる。
7.いいわけ
シャ乱Q絶頂期にリリースされたシングル曲だが、本曲が最後のミリオンセラーに近いシングルとなった。
どこか後ろ向きな男性目線の歌詞が支持された。
アレンジ面では激しいドラミングやギターソロを聴かせており、シャ乱Q史上でも最もハードな楽曲となった。
8.純愛II
作詞まこと、作曲はたけによる大人の香りがする一曲。
ベースラインが一際目立っており、曲の世界観とアレンジが絶妙なマッチングをみせている。
9.ジェラシー
本曲も前曲に続いて作詞まこと、作曲はたけによる楽曲。
ピアノを基調とした洗練されたアレンジが聴きやすい。
本曲は曲間奏で、はたけによる笛の演奏が聴ける非常にレアな一面もある。
10.COCORO
歌詞の内容はつんくのデビュー初期の実体験が元となっている。
アレンジ面では練られているが、歌詞の内容は賛否両論がファンの間でも分かれそうな一曲ではある。
つんくのどこか力を抜いた歌い方も特徴的である。
11.雲
本曲はまことが演奏に参加していないという変わったコンセプトとなっている。
どこか哲学的なつんくの歌詞が独特な雰囲気を醸し出している。
はたけによるアコースティックギターの演奏は珍しい。
12.泣ける話
はたけのギターがアレンジの核となったライブ映えする一曲。
まことによる歌詞も一筋縄ではない男女の恋愛をテーマとしており聴きごたえがある。
13.涙の影
前シングルの「いいわけ」よりセールス的にはダウンしたものの、ファンの間では根強い人気のあるバラード曲。
ストリングスアレンジを基調とし、そこにはたけの切ないも力強いギターリフが絡んでいく。
つんくの歌詞は過去のさまざま人との出会いを懐かしみつつも、少しずつ前に進んでいこうという意志を感じさせられる。
本曲のギターソロは私的にはシャ乱Q史上でも珠玉の出来だと感じている。
14.ホワイト
アルバムラストを飾るのは8分16秒という邦楽では異色の長さの一曲となった。
同じ所属事務所の森高千里がドラムの一部で参加している。
複雑な曲構成ながら、アレンジの練られ方は相当なものでスケールの大きい一曲だ。
歌詞は生き方に深く悩みつつも、好きな女性の事を想う主人公の生き様が描かれている。
総評
前作「 勝負師(ギャンブラー)」から売り上げはダウンしたものの、私の中ではシャ乱Qのオリジナルアルバムでは最高傑作という認識である。
まず、つんくの声が非常に安定していて伸びやかである。
サウンド面でもアレンジが緻密に練られており、飽きのこない作品となっている。
それぞれの楽曲でサウンドの核となるメンバーがいて、そういった面からもシャ乱Qは5人のメンバーで絶妙なバランスを保っていたのだなと感じられる。
ただ、本作品以降シャ乱Qは作品をリリースする度にセールス的には苦戦していくこととなった。
当時の音楽シーンは全体的にも非常に盛り上がっていた時期で人気の移り変わりも激しかった。
シャ乱Qはその波にセールス的には飲まれてしまったと言える。
そしてその後、ラストのオリジナルアルバム「孤独」がリリースされることとなる。